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論文の追試 07 — PUB-2026-007 残存するがコストで消える

ユーロドルは欧州時間に下がり、
米国時間に上がるのか

欧州の企業や投資家は、自分たちの営業時間中にドルを買う。米国の参加者は、自分たちの時間中にユーロを買う。 その結果、通貨は自国の取引時間中に安くなりやすい。Breedon と Ranaldo(2013)は1997〜2007年のデータでこれを示し、 EUR/USD では「欧州の朝に売り、米国の午後に買う」だけで、取引コストを引いてもシャープレシオ1.3と0.9が出たと報告しました。 2020〜2025年で測ると、パターンは今もある。ただし論文の3割ほどの大きさで、個人のコストには負けます。

論文 Breedon-Ranaldo (2013) JMCB 45(5) 通貨 EUR/USD 期間 2020-01〜2025-12・1分足 研究ID PUB-2026-007
朝のユーロ売り+午後のユーロ買い
+2.39pip/日
t 2.01。論文の約31%
個人口座の往復コスト(2脚)
2.0pip
スプレッド中央値+手数料
コスト後
+0.39pip
統計的にゼロと区別できない

01先にコストで足切りする

セッションの境目を狙う戦略は、効果を測る前にコストで足切りするのが当研究所の決まりです。効果がコストより小さければ、測っても使えないからです。 論文の効果量を1日あたりに直すと約7.8pip、個人口座の往復コストは2脚で約2.0pip。 論文どおりならコストを十分に上回るので、スクリーンは通過しました。

02パターンは、今もある

EURUSDの時間帯別の損益
図1:朝のユーロ売りと午後のユーロ買いの1日あたり損益(年平均・コスト前)。2020〜2023年は両方がプラスで揃う。2024年は午後、2025年は朝が崩れた。
表1:2020〜2025年の1日あたり損益(コスト前)。t はHAC(5日ラグ)。両脚の合計は有意にプラスだが、大きさは論文の約31%。
脚平均(pip)t日数
朝のユーロ売り(ロンドン7時→NY8時)+1.532.041,557
午後のユーロ買い(NY8時→16時)+0.870.911,557
合計+2.392.011,557

論文の発表から10年以上たっても、方向は同じでした。ユーロは欧州の朝に売られ、米国の時間に買い戻される。 とくに朝の売りは6年のうち5年でプラスです。実需の時間帯の偏りという機序は、今も働いていると読めます。

03それでも、個人口座では残らない

問題は大きさです。1日の合計 +2.39pip から、2脚の往復コスト 2.0pip を引くと +0.39pip。 1日の値動きの振れに比べると小さすぎて、統計的にゼロと区別できません(事前の基準を満たさず)。 論文は銀行間取引の気配(EBS)で約定させており、個人口座よりずっと安く売買できた前提でした。 論文の時代の「コスト後も有効」は、インターバンクの参加者にとっての話だったことになります。

8本の追試をまとめて補正すると(Holm)、この研究の p 値は0.16になり、バッチ全体では有意とは言えなくなります。 「パターンは残っている」という結論も、控えめに読むべきです。

042025年に起きたこと

2025年は朝の売りが -0.05pip とほぼゼロになり、代わりに午後の買いが +2.02pip と大きく出ました。 ユーロ高が進んだ年で、朝も午後もユーロが買われた結果です。1年だけで機序が変わったとは言えませんが、朝の売りだけを取り出して使う、という考えには注意が要ります。

05この検証の限界

期間は2020〜2025年の6年だけで、2007〜2019年は時間足の取得が制限されたため含めていません。 この期間の EUR/USD は、時間帯×曜日の探索(2026年9月)ですでに私たちの目に触れています。 欧州の時計をフランクフルトにした場合(報告のみ)も、合計は +2.25pip でほぼ同じでした。

この検証の途中経過

論文の「欧州時間」がロンドンの時計かフランクフルトの時計かで迷い、原典の表で確かめた経緯は note に書いています。

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検証条件: 価格=生M1データ(BID・UTC換算)EURUSD 2020-01〜2025-12/朝の脚=ロンドン 7:00 → ニューヨーク 8:00(ユーロ売り)、午後の脚=ニューヨーク 8:00 → 16:00(ユーロ買い)。 各地の夏時間はそれぞれの規則で処理(論文 Table 1 の「欧州 7〜15時・ニューヨーク比+5時間」はロンドン時計)/ コスト=時刻別の実測スプレッド中央値+往復手数料0.7pip(EURUSD)を2脚分。売りから入る脚は決済時のスプレッドで計上/ コスト先行スクリーン=論文の効果量(年率ログ0.084+0.100)を1日のpipに換算して計算。 判定基準は結果を見る前に固定し、独立した監査の事前レビューを経て実行。 掲載した数値はすべて過去データに対する集計であり、フォワードテスト・実口座運用の結果ではありません。

免責: 本ページは検証プロセスの開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。特定の金融商品・取引業者の利用を推奨するものではありません。 バックテスト・過去データの集計は将来の利益を保証するものではありません。FX取引には元本割れのリスクがあります。 図表はすべて実測データからPythonで描画したものであり、生成AIによる作画は含みません。