R114〜117で「価格から作ったプロキシは効率の壁を越えられない」と確定した後、研究所は初の非価格データ(VIX・DXY実値・US金利など)のパイプラインを構築しました。その第一の成果候補が、「DXYが直近20日で上昇(mom20>0)しているとき、JPYクロスをLONGする」という条件付きキャリーです。
機序はこうでした——ドルが強い局面はリスクオン・米金利優位を意味し、円キャリー(円売り)が継続しやすい。実際、検証期間(2023.08–2024)でこの効果は強く発現していました。ただしIS(2020–2023H1)では非有意だったため、通常なら昇格できません。そこで経営承認のもと、最後のホールドアウトである2025年OOSを1回だけ開封して確認するという規律ある賭けに出ました。
2025年のOOSで、効果は消えただけでなく逆を向きました。3ペアすべてで差分Dが負です。
| ペア | D(IS予測は D>0) | p値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| GBPJPY | −19.4p | 0.131 | 逆符号 |
| EURJPY | −18.2p | 0.066 | 逆符号 |
| USDJPY | −9.2p | 0.415 | 逆符号 |

並べ替え検定はp=0.66〜0.97。3ペア中3ペアとも逆符号で、完全なnull——いやnull以下です。
診断すると、何が起きたかが鮮明に見えました。GBPJPYでは、DXYが高いON日のリターンが+2.55pipなのに対し、DXYが高くないOFF日が+21.95pip——条件をつけない方が圧倒的に強い。関係が完全に逆転しています。
機序の言葉で言えば、2024年型「DXY高=USD強=JPY超弱=キャリー継続」から、2025年型「DXY高=リスクオフ=キャリー巻き戻し」へ、因果の向きが裏返ったのです(Discovery 31)。BoJの利上げ進行と、2025年のトランプ関税ショックが、ドル高の意味そのものを書き換えました。同じ観測量(DXYの上昇)が、市場レジームによって正反対のシグナルになる——外部条件付き戦略の最も怖い失敗様式です。
マクロレジームを利用する戦略は、発見した機序が依拠するマクロ環境が継続するかを四半期ごとにモニタリングする設計が必須である(Platinum+条件「機序を説明できるか」の具体例)。「ON日 vs OFF日のD」だけでなく、ON日/OFF日それぞれの無条件平均からの乖離も追い、符号反転なのか単なる収束なのかを区別する。
外部レジーム系の新仮説は、「なぜ2022-2024に出たのか」と「なぜ2025に消えたのか」の両方を事前に機序として説明できるものだけを登録する。消える理由を説明できないなら、将来の再消滅を検知できない。
R120は、2025年という最後のホールドアウトを意図的に消費しました。これは安易な決定ではなく、「Valで強く効くが、それが本物の新レジーム効果かドリフト残留か」を切り分ける唯一の方法として、プロトコルに明記し経営承認を得たうえでの規律ある賭けでした(Discovery 29)。賭けは外れ、効果は逆符号で消えた。しかしこの「消費」自体が、外部条件付きキャリーの不安定性を実証する貴重なデータになりました。R078(平均回帰がレジームで崩れた)と並べて読むと、レジーム依存エッジの脆さが立体的に見えてきます。
R120の符号反転は「説明できないマクロ効果は将来消える」ことの実例でした。生き残ったプロダクトは、誰が・なぜ・いつ売買するかを一段落で説明できる実需フローに根ざしています。検証済みプロダクトと、外部データ探索の全体像をご覧ください。
検証条件: 対象=GBPJPY/USDJPY/EURJPY/条件=DXY mom20>0 → JPYクロス LONG/主統計量 D=mean(ON)−mean(OFF)/2025 OOS を確認に消費(IS非有意・Val発現)。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。
免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。