前日に大きく下げた相場は売られすぎであり、翌日の東京時間(GMT01:00)に反発しやすい——という平均回帰の発想です。条件は前日リターンが −80pip 以下のJPYクロスで、翌日のGMT01:00に1時間だけBUYで反発を取りにいきます。
この発想には機序的な裏付けもありました。当研究所が確認済みの月曜キャリー再開フロー(GBPJPYがGMT01に強く買われる構造)と同じ時間帯であり、「過剰に売られた直後ほど、東京の機関投資家によるキャリー再開買いが強く効くのではないか」という連結仮説です。IS期間ではこの読みが当たっているように見えました。
IS(2020–2023)でPF2.37。単体としては魅力的な数字ですが、研究内Bonferroni補正の有意水準は僅差で通過できませんでした。当研究所のGate 3は、こうした「惜しい」候補をRoute B(独立再現)へ回します。つまりこの時点で、IS成績だけでは採用できず、検証期間(Val)とアウトオブサンプル(OOS)での独立再現が昇格の絶対条件になっていました。

| 区間 | PF | 判定 |
|---|---|---|
| IS(2020–2023) | 2.37 | Bonferroni僅差落ち |
| OOS(2025) | 0.80 | 損益分岐割れ |
| WFA | 14 / 18 窓 | 後半4連敗 |
OOS(2025)でPF0.80。ウォークフォワード分析は18窓中14窓は通過したものの、後半の4窓が連敗しました。連敗が「後半に集中」していることが決定的でした。これは偶然のばらつきではなく、時間とともにエッジが構造的に劣化したサインです。
背景にあるのは2024年後半からのBoJ利上げ局面です。金利の正常化が進むと、円ショート(キャリー)の巻き戻しが従来より深く・長く続くようになります。「前日の大幅下落は明日反発する」という平均回帰の前提は、下落が一過性のオーバーシュートであることに依存していました。利上げレジームでは、その下落自体が新しいトレンドの一部になり得るため、反発を買う戦略は逆風にさらされます。
条件を月曜限定に絞ると +15〜+16pip と強く出ます。一見すると救済策に見えますが、これは当研究所が別途検証済みの月曜キャリー再開ファミリー(R044/R086系)と同じ現象を観測しているだけでした。新しい独立エッジではなく、既知のエッジの変装です。
「数字が出るなら採用」ではなく「それは本当に新しい優位か」を問うのが当研究所の規律です。既存エッジの言い換えに新しい研究IDを与えれば、同じ優位を何度も数えてしまう(多重カウント)。ここでも、月曜版は独立した発見として数えませんでした。
R078は「IS成績が良くても、Bonferroni僅差・WFA後半連敗・OOS損益分岐割れのいずれかがあれば昇格させない」という規律を、もう一度実地で確認した事例です。反発(平均回帰)系のエッジは、検証する市場レジームに強く依存します。利上げのような構造転換期には、過去に効いた平均回帰がそのまま逆風に変わる——この教訓は、外部条件(金利・DXY)に依存する他の棄却研究(R120)とも一本の線でつながっています。
R078が頼った平均回帰は利上げレジームで崩れましたが、同じGMT01時間帯の月曜キャリー再開フローは、MT5実機照合まで通過してプロダクトになっています。両者の違い——「反発を当てにいく」のか「実需フローに乗る」のか——が、生死を分けました。
検証条件: 対象=GBPJPYほかJPYクロス/時間軸=D1ショック(前日<−80pip)→翌GMT01反発BUY/IS 2020-2023・Val 2023-24・OOS 2025封印解除済み。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。
免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。