当研究所には、合成プール入りを目指していた弱エッジ COMP-079B(GBPJPY GMT20のH4ドジ→翌server00で継続を狙う)がありました。これは成行では約定不可(薄い板で高値掴み)と分かっていたため、別研究R107で実証済みのserver00 BUY LIMIT(ref−δの指値でディップを拾う)約定構造で救済できないか、と考えました。
δ(指値の深さ)を変えた6テストを事前登録。OOS2025は封印しました。問いは明快です——「優れた約定構造を移植すれば、死んでいたシグナルは生き返るか?」
Bonferroni補正を通過したのは、δ=10・exit2h というたった一つのパラメータでした(IS PF3.65、avg+8.81pip、p=0.0028)。しかも望ましい性質も確認できました——δを深くするほど成績が単調に改善し(+1.66 → +5.97 → +8.81pip)、指値のfill中央値は1分、逆選択も無い。約定機構は機械的に完璧に動いていました。

ところが、IS PF3.65 は単一パラメータでしか成立せず、検証期間(Val、2023.08–2024)でPF1.03(劣化比0.28)、2024年は avg+0.9pip まで減衰しました。Route B(独立再現)も全config で Val p≥0.35。典型的な過剰適合です。
ここがR111の本質的に重要な点です。約定機構は健全、逆選択も無い。それでも崩れた。つまり問題は約定側ではなく、シグナル側にありました(Discovery 22)。
比較対象のR107(同じ指値構造)は、検証期間でも成績が落ちないどころか Val avg+11.85pip/PF3.55 とVal>ISでした。この頑健性はどこから来ていたのか——指値という約定構造からではなく、R107のシグナル源(D1 close_pos<0.60=上昇余地のある日のキャリー実需)から来ていたのです。COMP-079B(GMT20のドジ)にはその持続的なシグナル源が無かった。だから優れた約定機構を載せても、ドリフトが消えれば一緒に死にました。
結論として、COMP-079Bは成行不可に加えてドリフト自体がレジーム脆弱と判明し、合成プールから除外。R107系(server00-carry)の3本目の部品をCOMP-079Bで作る計画は、ここで打ち止めになりました。
「実証済みの優れた約定構造を別シグナルに移植すれば救済できる」は危険な仮説である。約定機構は移植できても、エッジの持続性(Val再現)はシグナル固有。約定だけ良くても、ドリフトが消えれば死ぬ。
そして、IS有意×Val崩壊と、IS非有意×Val非崩壊が混在したら、後者を「生存」と誤認してはならない。崩れる山が無いだけである。統計的有意性ゲートと独立データ再現ゲートを同時に満たすconfigが一つも無ければRejected——R111はそれがゼロだった。OOS2025は一度も開封せず棄却している。
R111は「約定構造の移植」をシグナル側から否定し、姉妹研究R108は同じことをセッション移植の側から否定しました。二つの独立した棄却が、同じ Discovery 21/22 を別角度で裏付けています。「良い約定は移植できるが、エッジは移植できない」——この一行を、当研究所は二度の失敗で確かめました。
当研究所は、棄却した研究と同じ規律でプロダクトを検証しています。各EAの検証ランク・MT5実機の成績・正直な弱点はプロダクトページに開示しています。失敗の記録を読んだうえで、生き残った検証をご覧ください。
検証条件: 対象=GBPJPY/GMT20 H4ドジ → server00 BUY LIMIT(ref−δ)/事前登録6テスト・Bonferroni通過はδ=10/exit2hの単一点のみ・OOS2025封印維持。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。
免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。