テクニカルの世界で最も直感的な発想のひとつが「強い足の後は続く」です。大陽線が出れば買い、大陰線が出れば売り。これをH4スケールで、恣意性を排して網羅検証しました。実体比率(body / range)0.55〜0.75とATR比(実体 / ATR)0.60〜1.00を格子状に組み合わせた計25通りのパラメータで、条件を満たす強体足が出た次のH4バーに、同じ方向へエントリーします。
パラメータを格子で総当たりするのは、「たまたま効く1点」を拾わないためです。本物の継続効果があるなら、近いパラメータでは似た成績が出る(連続性がある)はず——そう考えて、点ではなく面で検証しました。
結果は一切の例外がありませんでした。25パラメータすべてで平均リターンがマイナス。最も粘ったパラメータでも avg −0.93pip、PF 0.91です。一点の偶然ではなく、面で一様に負けている——これは「継続効果が無い」どころか「逆の効果(平均回帰)がある」ことを示します。

H4・H1での平均利益がコスト基準(禁止⑨:H4で avg P&L 3pip未満は不可)に遠く及ばず、Gate 5は通過しません。
なぜ継続しないのか。H4で実体の大きい足が出た時点で、その方向の動きの大部分はすでに終わっているからです。大陽線は「これから上がる」ではなく「すでに大きく上がった(買われすぎた)」記録であり、次のバーでは利益確定や逆張りの売りが入りやすい。つまり強体足は過伸びの目印であって、勢いの継続の目印ではありませんでした(Discovery 12)。
これは時間スケールの問題でもあります。継続(モメンタム)が観測されやすいのはD1以上の遅いスケールで、H4のような中間スケールでは平均回帰が優勢になりやすい。同じ「強い動きの後」でも、見る時間軸で符号が逆転します。
25パラメータが一様に負ける、という結果は「順方向はダメ」という以上の情報を含んでいる。平均回帰が一貫して効いているなら、逆方向(強体足の後の反転を取る)に符号を反転した戦略には余地があるかもしれない。ただしこれは本研究の事後発見であり、同じデータで逆張りを検証するのはデータスヌーピングにあたる。検証するなら新しい研究IDで、独立した期間設計のもとで事前登録する。
方法論としても再利用できる教訓がある——モメンタム戦略は時間スケールで符号が反転する。H4で機能しない継続ロジックを、そのままD1へ移しても機能する保証はないし、その逆もまた然りである。
R051は派手な棄却ではありません。むしろ地味で、一様で、議論の余地がない負けです。しかしこの「議論の余地がなさ」こそが価値です。多くのトレーダーが直感で採用する「強い足は続く」という発想が、JPYクロスのH4では成り立たない——これを25点の格子で示したことで、今後の研究は同じ轍を踏まずに済みます。失敗は記録され、次の研究の盾になります。
当研究所は、棄却した研究と同じ規律でプロダクトを検証しています。各EAの検証ランク・MT5実機の成績・正直な弱点はプロダクトページに開示しています。失敗の記録を読んだうえで、生き残った検証をご覧ください。
検証条件: 対象=JPYクロス H4/実体比率0.55-0.75 × ATR比0.60-1.00 の25パラメータ網羅/IS期間・理想約定。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。
免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。