月末、年金基金やインデックスファンドは、株式・債券の値動きで崩れた資産配分を目標比率へ戻します(Melvin–Prinsの月末リバランス仮説)。この過程で為替のドル需給が一方向に傾き、月末にかけて動いたドルが月初に反転しやすい、というのが仮説です。単なる経験則と違い、誰が・なぜ・いつ売買するかという機序が明確な点が魅力でした。
機序が正しいなら、二つの予測が独立に成り立つはずです。①ドルが直接の脚になるペア(USD系)でだけ効き、JPYクロスでは弱い。②月末にかけての動き(run-up)が大きいほど、反転も大きい(確信度の単調性)。
ISでは、機序の二つの予測がきれいに確認されました。
機序の予測がISで独立に二つとも当たる——これは普通、本物のサインです。だからこそ危険でした。

OOSでPF1.02、ほぼ損益分岐です。ISの IS PF1.53 から大きく後退しました。原因は二つ重なっています。
第一にレジーム依存。USDJPYはBoJの金利・介入レジームに支配され、リバランスの小さな反転はその大波に埋没します。EURUSD・GBPUSDも2025年はフラットで、月末効果が現れる地合いそのものが消えていました。
第二に、より構造的な検出力不足です。月末イベントは月1回。6年でもサンプルは n≈72 しかありません。これは統計的に「効いている/いない」を判別するには根本的に足りない量です。ISで美しく見えた一致も、72点の偶然であった可能性を排除できませんでした(Discovery 9)。
機序が説明でき、その予測がISで複数とも当たる——これは強力な誘惑だが、昇格根拠にはならない。カレンダーアノマリーは必ず2025年を含むOOSで確認し、そこで崩れたら機序の美しさにかかわらず棄却する。これはRESEARCH-024(機序は確かだったが現実約定で崩壊)と同じ罠であり、当研究所は同じ轍を踏まないためにこの規律を恒久化している。
月次イベント戦略は6年でもn≈72と過少で、検出力不足が本質的制約になる。検証するなら10年以上のデータが最低条件。equity-FXリバランス系にUSDJPY(金利・介入レジーム)を混ぜると機序が汚染されるため、純粋なUSDメジャーで再設計すべきである。
R040は38点・Bronzeとして記録に残しました。採用はしませんが、抹消もしません。「機序が明確で、ISでは予測が当たったが、OOSとサンプル数の壁で昇格しなかった」という典型例は、将来の月次・カレンダー系研究すべてにとっての参照点になります。長期データ(10年以上、純USDメジャー)が揃ったときの再審査(Revival)候補でもあります。失敗の質を見極めて分類することが、次の探索を速くします。
当研究所は、棄却した研究と同じ規律でプロダクトを検証しています。各EAの検証ランク・MT5実機の成績・正直な弱点はプロダクトページに開示しています。失敗の記録を読んだうえで、生き残った検証をご覧ください。
検証条件: 対象=USD系メジャー(JPYクロス対照)/月末リバランス反転/IS機序確認・OOS 2025で崩壊。月次イベントゆえ n≈72。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。
免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。