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RESEARCH-029〜033コスト負け棄却 — REJECTED

エントロピーもHurstも、コストの壁を越えられなかった

順列エントロピー・三角裁定ベーシス・HAR+ロンドン・シンボルダイナミクス・DFA Hurst——情報理論や計量ボラティリティに由来する高度な特徴量5系統を検証しました。統計的な歪みが見える系統もありましたが、単体ではコスト控除後のエッジに変換できませんでした。一つ(DFA Hurst)だけは2025未検証のまま保留=再審査候補です。

対象 USDJPYほか FXメジャー特徴量 エントロピー / Hurst / HAR 等死因 コスト負け・単年レジーム依存・OOS崩壊検証 5研究 / Python
R029 IS avg
+2.3pip
コスト約3pip未達
R031/034 OOS
−7〜−11pip
2025で崩壊
R033(Hurst)
保留
Revival候補

01狙い — 「高度な特徴量」で価格の奥を読む

移動平均やRSIのような素朴な指標ではなく、情報理論(エントロピー)や計量ファイナンス(HARボラティリティ、フラクタル次元)に由来する高度な特徴量なら、価格系列の奥に隠れた構造を捉えられるのではないか——これが5研究に共通する動機でした。当研究所の絶対ルール(素朴な指標だけのロジックは追加証明なしでは採用禁止)に沿った、正攻法の探索です。

5系統は性格が異なります。R029(順列エントロピー)は系列の複雑さ、R030(三角裁定ベーシス)はクロスレートの歪み、R031/034(HAR+ロンドン)は時間帯別の実現ボラティリティ、R032(シンボルダイナミクス)は方向シーケンス、R033(DFA Hurst)は系列の持続性(トレンド/回帰)の度合いを測ります。

02結果 — 歪みは見えても、コストとOOSで消える

個別の結末は次のとおりです。

出典:各 rejection report / key_discoveries.md(Discovery 1/2/4/6)
研究特徴量結末
R029順列エントロピーIS avg +2.3pip < コスト約3pip
R030三角裁定ベーシス2023年単年が全利益・他年は赤字
R031/034HAR+ロンドン2025 OOS −7〜−11pip 崩壊
R032シンボルダイナミクスBonferroni補正後 全て非有意
R033DFA Hurst保留(2025未検証)=Revival候補
R029 IS平均+2.3pip(コスト3pip未満)とR031/034 OOS約-9pipを示す棒グラフ。
図:R029は3pip未達、R031/034はOOSで崩壊。情報量ベースの特徴量は単体ではコストの壁を越えられなかった。出典:各 rejection report。

03崩壊の機序 — 「歪みがある」と「取りにいける」は違う

5研究を貫く教訓は一つです。統計的な歪みが見えることと、コスト控除後に取りにいけることは別物だということ。

R029は順列エントロピーが将来方向と確かに関係していました。しかしその情報量を金額に換算すると IS avg +2.3pipで、夜間スプレッド(約3pip)に届きません。歪みは本物だが小さすぎる。R030の三角裁定は2023年のBoJレジームに固有で、年次分解すると2023年単年がすべての利益を作っていました(Discovery 2)。R031/034は2025年OOSで符号ごと崩壊(Discovery 1:2025年市場の構造的断絶)。R032は補正をかけると有意性が消えました(Discovery 4:単純な方向シーケンスには優位がない)。

共通するのは、特徴量の高度さが、コスト・レジーム・多重検定という三つの壁を免除してくれない、という事実です。

04この棄却から得た教訓

高度な特徴量は「単体EA」でなく「合成の部品」として再評価せよ

情報量ベースの特徴量は、単体では実運用可能なエッジにならない。しかし当研究所のComponent Edge制度では、コスト後 avg≥1.5pip・IS有意・Val同符号の弱エッジを合成プールの部品として認定できる。単体で弱くても、互いに無相関な部品を束ねれば合成体として viability を満たし得る。「単体EA化は禁止、合成の部品としては可」という線引きが、これらの特徴量の正しい使い道である。

特に R033(DFA Hurst) は、有望なまま2025年テストを実施しておらず保留=Revival候補。Hurst指数(系列がトレンド型か回帰型か)は、それ自体を売買シグナルにするのではなく、他のエッジを「トレンド地合いでだけ有効化する」ようなレジームフィルターとして再評価する余地がある。

05価格オンリーの限界という、より大きな結論

5研究を含む一連の探索が示したのは、価格データだけから作れる特徴量には限界がある、という大きな結論です。エントロピーもHurstも合成USDファクターも、同じOHLCVの変換である以上、価格効率の壁を越えられません(後のDiscovery 27で明文化)。本当に新しい情報は、金利差・実VIX・COTといった非価格データにしかない——R029〜033の地道なコスト負けが、外部データパイプライン構築という次の一手へ研究所を押し出しました。

この棄却を生き延びた検証へ

棄却は、生き残ったロジックの「裏取り」だった。

当研究所は、棄却した研究と同じ規律でプロダクトを検証しています。各EAの検証ランク・MT5実機の成績・正直な弱点はプロダクトページに開示しています。失敗の記録を読んだうえで、生き残った検証をご覧ください。

検証条件: 対象=USDJPYほかFXメジャー/情報量系特徴量5研究(順列エントロピー/三角裁定/HAR+London/シンボルダイナミクス/DFA Hurst)/Python検証・R033は2025未実施で保留。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。

免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。