前の研究(R182〜188)で、無料G10断面が実質「1因子」だと分かりました。リバーサル1軸に、トレンド(その符号反転)と死んだキャリーが張り付いているだけ。ならば、本当に独立した第2の機序を別次元から連れてくれば、ようやく分散の効いたシステムが組める——そう考えて、3方向を探しました。 バリュー(REER)は、割安通貨が「負け組」と重なってリバーサルと相関し(+0.27)、Sharpeもほぼゼロで、合成をむしろ希釈(Δ−0.47)。 オイルβは、初めてリバーサルと直交(相関−0.18)した——のに、弱すぎて合成を改善せず、2026年には−2.03へ反転。理由は、米シェールでコモディティ通貨の関係そのものが裏返っていたから。 唯一、ペア回帰(AUDNZD/EURGBP)だけが合成を+0.074改善しました。けれどそれも、良さが2020年と2023年に集中し、未閲覧の2026年は−1.75。 結論は静かです——真に独立で頑健な第2部品は、(まだ)無い。無料G10価格は1因子、を追認した記録です。
分散の効いたシステムには、互いに独立な複数の柱が要ります。ところが前研究で、無料G10断面の柱は実質1本(リバーサル)だと分かりました。トレンドはその符号反転(相関−0.60)で冗長、キャリーはEV≈0。足しても希釈するだけ——「システム>部品の和」は、部品が1つしか無いから成立しない、という結論です。
そこで本研究は、リバーサルと独立で、かつ単体でも正EVの第2機序を、価格の外側から3方向で探索しました。すべて無料データ(FRED)で、各仮説はK本を事前固定。判定は「単体で正か」だけでなく、決定的に「リバーサルに足して合成Sharpeを上げるか(ΔSharpe)」で行います。相関して同じことをするだけの部品は、いくら単体で正でも価値がありません。
最初の候補は、断面3スタイルの古典的第3軸バリュー。実質実効為替(REER)で割安な通貨を買い、割高を売ります。無料のFRED REER 7系列を使い、遅延2か月・trailing 60か月で構成しました。結果は明快な不合格——単体Sharpe 0.05(年率+0.20%・t=0.12・p=0.45)で、統計的にゼロと区別できません。2023–2024はマイナスで、G10バリューが弱いレジームでした。
さらに悪いことに、バリューはリバーサルと正の相関(+0.27)を持っていました。直感的には当然で、「割安な通貨」と「直近で負けた通貨」はしばしば同じ。つまりバリューは、独立な第2軸ではなくリバーサルの薄い焼き直し。合成すると、期待通り大きく希釈しました(Δ−0.47)。判定はPRICED_AND_DECLINED。
次はオイルβ断面。原油に対する各通貨の感応度(52週β)で、コモディティ通貨を横断で取ります。これは初めての朗報を運んできました——リバーサルとの相関−0.18、つまり探索で初めて直交する軸だったのです。独立な第2の柱の、最有力候補に見えました。
ところが、単体が弱すぎました(Sharpe 0.46・p=0.17)。合成に足しても、ΔSharpeは−0.02——事実上ゼロ。そして未閲覧の2026年に走らせると、Sharpeは−2.03へ反転しました。図2が、その理由を語っています。
これは重要な発見でした。直交していても、関係自体が不安定なら第2の柱にはならない。かつて原油高はコモディティ通貨(AUD・CAD・NZD)を押し上げましたが、米国がシェールで世界最大の産油国になった今、原油高はむしろUSD高。この構造転換のさなかにあるβは、時期によって符号が変わります。判定はPRICED_AND_DECLINED。
最後は、断面ではなくペアの共和分平均回帰。経済的に連動するペア——AUD/NZDとEUR/GBP——の相対価格が、52週の標準化スプレッドで開いたら回帰に賭けます。これは初めて、まともな単体(Sharpe 0.79・p=0.04)と、合成の改善(Δ+0.074)を同時に見せた候補でした。探索で初めて、合成Sharpeを押し上げる第2部品です。
期待は、しかし保留です。IS内でも良さは2020年と2023年に集中し、完全未閲覧の2026年(26週)では−1.75と符号が反転しました。過剰適合の疑いを晴らすには、フォワードでの継続が要ります。だから判定は棄却でも合格でもなく、UNCONFIRMED(EVIDENCE_ACCUMULATING)——結論は、私たちの意見ではなく、これからのデータが決めます。
| 候補 | 単体Sharpe | p(片側) | vsリバーサル相関 | 合成Δ | 未閲覧2026 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| バリュー(REER) | 0.05 | 0.45 | +0.27 | −0.47 | — | DECLINED |
| オイルβ | 0.46 | 0.17 | −0.18 | −0.02 | −2.03 | DECLINED |
| ペア回帰(AUDNZD/EURGBP) | 0.79 | 0.04 | +0.21 | +0.07 | −1.75 | UNCONFIRMED |
3方向すべてで、「独立・単体で正EV・頑健」を同時に満たす第2部品は見つかりませんでした。バリューはリバーサルの焼き直し、オイルβは直交しても関係が不安定、ペア回帰は有望だが未確認。無料G10価格の断面は1因子、という結論が、別次元からの探索でも追認された形です。
第2部品の合否は、単体Sharpeではなく合成へのΔで決まります。バリューは単体もゼロで論外でしたが、仮に単体が正でも、リバーサルと相関していれば(=同じことをしていれば)合成は改善しません。独立性こそが分散の源泉——この規律を守るかぎり、無料G10価格の中に2本目の柱は立ちませんでした。
次に柱を探すべき場所は、無料G10価格の外側です——別の頻度・別の市場構造(パネル/イベント/レジーム)、あるいは有料データ次元(FXオプション等)。ペア回帰(R187)だけは、フォワード監視に載せて継続観察します。「無い」を確定させることも、探索地図を1マス塗る、立派な前進です。
当研究所は、単体の見栄えではなく独立性と合成への寄与で部品を判定します。第2機序が立たなかった記録も、実測コスト近似まで通過した検証中プロダクトも、同じ基準で開示します。
検証条件: 対象=G10断面の第2機序候補(バリュー=REER/オイルβ=WTI 52週β/FXペア回帰=AUDNZD・EURGBP 52週標準化スプレッド)/ データ=無料FRED(Fed H.10 名目為替・BIS/OECD系REER 7系列・WTI)+r177パネル・2020-02〜2024-12(週次リバランス・因果的コスト後・Sharpeは年率換算)・未閲覧2026=独立確認スライス/ 判定軸=単体Sharpe/p(片側)/リバーサルとの相関/合成ΔSharpe(等リスク・vsリバーサル単体≈0.89)/ run=RUN-20260711-185-001・186-001・187-001(output/protocol/run_ledger.csv / R185/R186/R187 検証JSON)。 掲載した数値はすべてPython検証の実測値であり、可取引な第2機序が確立しなかったため、本研究ではMT5照合・フォワード配布・EA提供を行っていません(ペア回帰R187のみ研究としてフォワード監視を継続)。
免責: 本ページは、G10断面の第2機序探索と、その棄却(+1件のフォワード継続)の記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。記載はいずれも当社の検証範囲における結果であり、将来の利益を保証するものではありません。掲載候補はいずれも提供中の製品ではなく、研究対象です。FX取引には元本割れのリスクがあります。 図表はすべて実測値(run_ledger.csv / edge_miner の検証JSON)からのインラインSVG再描画であり、生成AIによる作画は含みません。