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RESEARCH-182〜188 クラスB — 探索記録 無料G10 断面 構造エッジ棄却 — REGIME_CONDITIONAL

IS Sharpe 1.12は、本物に見えた
2000〜2014が、それを殺した

G10通貨の週次断面リバーサル——「直近1〜3か月で負けた通貨を買い、勝った通貨を売る」——を、私たちは中間の形成窓(21・63営業日)に純化しました。すると、インサンプル(2020–2024・255週)で年率Sharpe 1.12・p=0.008・5年中4年で正・全6通貨の除外テスト(LOCO)を6/6通過。実測コスト後でこの数字は、構造的なエッジそのものに見えました。高確率のPlatinum候補です。 ——けれど、私たちは公開の前に、最後の関門を課しました。完全に未露出の2000〜2014年(会社が一度も見ていない期間)で、同じ仕様を検定する。 結果は、Sharpe −0.02 / −0.24 / −0.25——フラットから、負。リバーサルは2020年以降にだけ現れたレジーム現象で、モメンタムも、レジーム適応の切替も、全期間で均せばSharpe +0.15(p=0.23=ほぼゼロ)でした。 無料のG10断面に、構造的なPlatinumエッジは無い。これは、市場効率と整合する結末——そして、有望に見えた候補を私たち自身の規律がREGIME_CONDITIONALへ引き下げた、その記録です。

対象 G10 6通貨(拡張9通貨)週次 断面リバーサル(純化 {21,63}d) データ FRED Fed H.10 名目為替(Dukascopy独立ソースで符号一致)+r177パネル 死因 完全未露出2000–2014で Sharpe −0.02〜−0.25 / 全期間 +0.15(p=0.23) 再分類 REGIME_CONDITIONAL(2020–2026)=無料G10断面は「1因子」(R184)
IS(2020–2024)
Sharpe 1.12
純化リバーサル・p=0.008・5年中4年で正・LOCO 6/6=構造的に見えた
期外(2000–2014)
−0.02〜−0.25
完全未露出の3期間すべてフラット〜負=2020年以前には存在しなかった
全期間・適応切替
+0.15(p=0.23)
モメンタムも適応も全期間ではほぼゼロ=無料G10断面は構造的に効率的

01問い — 無料のG10断面に、「構造的エッジ」はあるのか

為替の主要通貨(G10)を横断で見ると、金利差(キャリー)・過去リターン(モメンタム/リバーサル)・割安割高(バリュー)といった断面の軸があります。学術的にも実務的にも古くから語られる、王道の探索対象です。私たちはこれを研究所の主要な探索課題のひとつとして、「無料で手に入るG10価格データだけで、構造的(=どの時代でも効く)な断面エッジを組み上げられるか」を事前登録し、検定を始めました。

入口の網羅探索(R182・6通貨・2020–2024)では、キャリー水準は情報ゼロ(t≈−0.2)。一方でモメンタムは全8セルで符号が負——つまり「断面リバーサル」の署名が一貫して出ました(月次で同じ兆候を見たR159に続く2件目)。ここから、事前登録した子研究としてリバーサルの純化と、その頑健性の徹底検証へ進みます。

02純化リバーサルは、本物に見えた

まず、正直な事実から。インサンプルの数字は、素晴らしかった。 形成窓を4本(21・63・126・252営業日)のアンサンブルから、中間帯{21, 63}日に純化(長期126–252日は2026年に崩れていたため除去)すると、IS(2020-02〜2024-12・255週・週次リバランス)のネットで年率換算Sharpe 0.62 → 1.12へと実質倍増。有意性 p=0.008、5年中4年で正、そして6通貨すべてを1つずつ除外しても全て正(LOCO 6/6)——特定通貨頼みでもありません(JPYを除いても+0.82=キャリー由来ではない)。

累積リターン(複利・2019年末=100・因果的コスト後・R182-C1) 100 105 110 110.2(+10.2%) 2019 2020 2021 2022 2023 2024 なめらかに右肩上がり=“構造的”に見えた
図1:純化リバーサル(R182-C1)のIS累積リターン(実測の年別ネット +2.25/+1.31/+0.67/+1.13/+4.52% を複利)。5年連続プラスで +10.2%——このなめらかな上昇曲線が、構造的エッジの錯覚を生む。出典:RUN-20260711-182C1-001(R182C1_reversal_walkforward.json)。
表1:純化リバーサルのIS特性(2020–2024・週次ネット・因果的コスト後)。数字だけを見れば、Platinum候補として申し分ない。
指標アンサンブル
{21,63,126,252}
純化
{21,63}(R182-C2)
判断
IS Sharpe(年率)0.621.12実質倍増
有意性 p(片側)0.0870.008基準内
正の年 / 5年5 / 54 / 5安定
LOCO(1通貨除外)6 / 6 正6 / 6 正通貨非依存
年率ネット / コスト+2.02% / 12.7bpsコスト後生存

もし、ここで止めていたら。私たちはこれを「高確率Platinum」として公開していたかもしれません。実際、実測コスト後で生き残り、レジームを跨いで頑健で、通貨にも依存しない——過去に私たちを殺してきた死因を、ことごとく突破していたのです。だからこそ、最後の関門が要りました。

03致命傷 — 完全に未露出の2000〜2014が、それを殺した

IS(2020–2024)で良く見えることは、その期間に過剰適合していないことを保証しません。決定的な検定は、会社が一度も触れていない過去で同じ仕様を走らせることです。私たちは純化リバーサルを、完全未露出の2000〜2014年(企業向け高品位データより前の時代)で検定しました。

期間別 年率Sharpe ヒートマップ(濃い青=強い正/赤=負) 2000–04 2005–09 2010–14 2015–19 2020–24 全期間 純化リバーサル 6通貨・R182-C2 適応切替 R188 −0.02 −0.24 −0.25 +0.12 +1.12 −0.05 −0.15 +0.29 −0.12 +1.09 +0.15 ↑ 強い正はここだけ 負 ← 年率Sharpe → 正(+1.1)
図2:期間別 年率Sharpe のヒートマップ。純化リバーサル(6通貨)と適応切替(R188)の強い正は2020–24列だけ。未露出の2000–2014は赤〜ゼロで、適応切替でさえ全期間では +0.15(p=0.23=ゼロ)。拡張9通貨も未露出2000–2019は +0.34 どまり。出典:RUN-20260711-182C2-002/188-001(R182C2_out_of_period・R188_adaptive_xsectional.json)。

これで決着です。2020年より前、リバーサルはエッジではありませんでした。むしろ2005–2014年はわずかに負。歴史的には、G10の断面はモメンタムが優位だった(学術文献と整合)——リバーサルは、2020年以降のレジームで初めて符号を変えて現れた現象なのです。拡張した9通貨でも同じ絵で、未露出の2000–2019年はSharpe +0.34(弱い)にとどまり、強い正は2020–2024の+0.97、そして2026年の+1.46に限られました。

04モメンタムも、適応切替も、同じ運命

「リバーサルがダメなら、符号を反転してモメンタムにすれば?」——私たちはそれも試しました(R188)。さらに、レジームを見て動的にモメンタムとリバーサルを切り替える適応戦略も。結果は図2のヒートマップが示す通り、切替戦略でさえ強い正は2020–2024(+1.09)だけで、2000–2024の全期間で均すとSharpe +0.15、p=0.23=統計的にはゼロと区別できません

確定 — 無料G10断面に、構造的なPlatinumエッジは無い

符号(リバーサル/モメンタム)も、静的/適応の別も問わず、無料G10断面の断面エッジは2020–2024のレジーム産物でした。全期間ではゼロ。これは市場効率と整合し、当研究所がこれまで無料・主要通貨の方向性で繰り返し確認してきた結論(コスト後は効率的)とも一致します。

05なぜか — 無料G10断面は「1因子」だった

構造が見えると、理由も見えます。私たちは既存部品(リバーサル+トレンド+キャリー)を等リスクで合成し、「弱い部品も束ねれば正EVのシステムになる」という仮説(いわゆるシステム>部品の和)を直接検定しました(R184)。結果は逆でした。

等リスク合成 年率Sharpe — 部品を足すほど希釈(横棒・R184) 0 0.5 1.0 リバーサル単体 0.89 +キャリー 0.81−0.08 +トレンド 0.50−0.39 +3種合成 0.39−0.50 単体基準 0.89
図3:等リスク合成の年率Sharpe(横棒・IS 2020–2024)。リバーサル単体 0.89 に何を足しても下がる(0.81→0.50→0.39)。破線は単体基準。トレンドはリバーサルと相関 −0.60=符号反転の冗長成分、キャリーはEV≈0で薄めるだけ。束ねるべき独立部品が1つしか無い。出典:RUN-20260711-184-001(R184_system_composition_finding)。

理由は単純でした。無料G10断面の価格データは、実質「1因子」だったのです。断面軸はリバーサル/モメンタムという1本のスペクトラムと、EVがほぼゼロの死んだキャリーしかない。トレンドはリバーサルの符号反転(相関 −0.60)=冗長で、足せば打ち消し合う。「システム>部品の和」は成立しません——束ねるべき独立な部品が、そもそも1つしか無いから。本当の多部品システムには、別データ次元(バリューや別頻度・別市場構造)が要る、という地図が残りました(→第2の機序を探した記録:R185–187)。

06結論 — 「構造」ではなく「レジーム」。だからキルスイッチが要る

判定は構造的Platinum仮説の棄却(PRICED_AND_DECLINED)+リバーサル部品の REGIME_CONDITIONAL 再分類。純化リバーサルは、ISでは非の打ち所がないのに、その正体は2020年以降のレジームに条件づけられたパターンでした。2026年のフォワードで+1.42と強いのも、「構造の証明」ではなく「レジームの継続」にすぎません——いつ終わるか分からない、という前提でしか扱えない対象です。

レジーム条件付きエッジは、寿命ごと収穫する

私たちは、「どの時代でも効く構造的エッジ」の完全証明を追いません。この研究が示した通り、無料の主要データにそれは(少なくとも断面には)無いからです。代わりにレジームに条件づけられたエッジを、寿命が尽きるまで規律をもって収穫し、キルスイッチで速やかに畳む——キルスイッチは付属品ではなく、レジーム条件付き製品の一部です。この記録は、その哲学が「なぜ必要か」の実演でもあります(考え方の詳細は方法論ノート:期外テストとレジーム条件付き運用)。

そして最後に、この研究が私たち自身について証明したことがあります。私たちは、自分の見つけた「Sharpe 1.12」を、自分で殺せる。公開前に完全未露出の過去へ突きつけ、フラット〜負を見て、正直にREGIME_CONDITIONALへ引き下げる——この規律こそが、当研究所の唯一の資産です。

研究KPI(経営指標・取引頻度に偏らない)

structural_edge   No(期外2000–2014で −0.02〜−0.25・全期間 +0.15 p=0.23)
regime_conditional Yes(2020–2026のみ正・forwardは regime継続であって構造証明でない)
free_g10_xsection 実質1因子(reversal/momentum 1軸+死んだcarry・合成は希釈のみ)
forward_status   R182-C2 は EVIDENCE_ACCUMULATING(2026 n=24・futility監視下・提供物ではない)
score_band / gate_status / formal_grade NA / DECLINED(構造Platinum仮説) / Reclassified(REGIME_CONDITIONAL)
規律でふるいにかける

「良く見えた候補」を、私たち自身の期外テストが引き下げた——その過程を、同じ透明性で公開しています。

当研究所は、インサンプルの見栄えではなく、完全未露出の期外・レジーム跨ぎ・実測コストでエッジを判定します。 高確率Platinum候補をREGIME_CONDITIONALへ引き下げた記録も、実測コスト近似まで通過した検証中プロダクトも、同じ基準で開示します。

検証条件: 対象=G10 6通貨(拡張9通貨)の週次 断面リバーサル(形成窓を{21,63}営業日に純化=R182-C2)/ データ=FRED Fed H.10 名目為替(独立ソースのDukascopyで符号一致を確認)+r177パネル(2020–2024)/ IS=2020-02-01〜2024-12-31(255週・週次リバランス・ネット・Sharpeは年率換算・因果的コスト後・年率コスト12.7bps)/ 期外=完全未露出の2000–2014(企業向け高品位データ以前)・2015–2019・拡張9通貨2000–2019/ 頑健性=LOCO(1通貨ずつ除外)6/6・レジーム適応切替(R188)・等リスク合成特性評価(R184)/ run=RUN-20260711-182-001・182C1-001・182C2-001・182C2-002・184-001・188-001(output/protocol/run_ledger.csv)。 掲載した数値はすべてPython検証(walk-forward・期間別Sharpe・合成特性評価)の実測値であり、可取引な構造的エッジが成立しなかったため、本研究ではMT5照合・フォワード配布・EA提供を行っていません。

免責: 本ページは、無料G10断面エッジの探索と、構造的Platinum仮説の棄却(+部品のREGIME_CONDITIONAL再分類)の記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。記載はいずれも当社の検証範囲における結果であり、将来の利益を保証するものではありません。レジームに条件づけられたパターンは、いつ機能を停止するか分かりません。R182-C2 は提供中の製品ではなく、フォワード監視下の研究対象です。FX取引には元本割れのリスクがあります。 図表はすべて実測値(run_ledger.csvedge_miner の検証JSON)からのインラインSVG再描画であり、生成AIによる作画は含みません。