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RESEARCH-129先読みバイアス棄却 — REJECTED

強烈な逆張りエッジに見えたのは、同じバグの裏返しだった

EURGBPのZ-score逆張り——統計的に行きすぎた価格が戻る性質を取る戦略です。IS avg=−13pipと「強い逆張りエッジ」に見えました。しかしこれは姉妹研究R130Bと同一コードのSELL方向版で、同じ先読みバイアスが逆方向に作用したものでした。修正後は約−2pip。エッジは最初から存在しませんでした。

対象 EURGBP(H1)時間軸 Z-score 逆張り死因 先読みバイアス(逆作用)検証 修正後マイナス / OOS封印維持
見かけ IS avg
−13pip
「強い逆張り」に見えた
修正後 IS avg
≈ −2pip
真の信号(エッジ無し)
原因
R130Bと同一バグ
対称性を確認

01背景 — R130Bの「裏面」として生まれた

R129は単独の思いつきではなく、姉妹研究R130B(EURGBP Z-scoreモメンタム)のSELL方向版として、同じコードベースで生まれました。Z-score(移動平均からの標準化乖離)が大きいとき、R130Bは「乖離方向に継続する(モメンタム)」を、R129は「乖離が戻る(逆張り)」を取ります。同じ部品を逆向きに使った、対になる検証です。

R130Bは当初、全8テストがGate 3を通過する好成績に見えました。一方このR129は IS avg=−13pip——「強烈な逆張りエッジ」に見えました。乖離が大きいほどきれいに戻る、理想的な平均回帰の顔です。

02検証 — 修正したら、両方とも消えた

R130Bの好成績を監査する過程で、コードの欠陥が判明しました。z[i] = (close[i] − shifted_mean) のようにバーの終値(close)でZ-scoreを計算しながら、エントリーを同じバーの始値(open)で行っていた——1時間分、未来の情報を先食いしていたのです(Discovery 41)。この先読みバイアスは1トレードあたり+12〜14pipもの幻の利益を生みます。

RESEARCH-129の先読みあり-13pipと修正後-2pipの比較棒グラフ。逆張りの幻が消える。
図:先読みバイアス込みの見かけ(−13pip=強い逆張りに見える)と、エントリーを次バー始値に修正した後(≈−2pip)。出典:RESEARCH129_130_outcome_report.md。

エントリーを次バー始値(open[i+1])に修正すると、R130Bのモメンタム利益も、このR129の逆張り利益も両方とも消えました。R129は修正後 約−2pip。EURGBP H1のZ-scoreには、買い方向にも売り方向にもコスト控除後のエッジが存在しませんでした。

03崩壊の機序 — バイアスの「対称性」

R129の教育的価値は、先読みバイアスが方向に応じて正反対の幻を生むことを示した点にあります。

同じ「終値で判定→始値で約定」のバグでも、モメンタム方向(R130B)に使えば+12〜14pipの利益に見え、逆張り方向(R129)に使えば−13pipの『強い逆張りエッジ』に見えます。バイアスはバー内部の動きを符号付きで先食いするため、戦略の向きを反転させると、先食いした利益も符号を反転します。つまり方向を変えても同じ大きさのバイアスが必ず乗る——これがバイアスの対称性です。

R130BとR129をセットで見ることで、「+の幻」と「−の幻」が同一バグの裏表だと確定しました。片方だけ見ていたら、R129の−13pipを「逆張りすれば+13pip取れる本物のエッジ」と誤読しかねません。対で検証したからこそ、両方が人工物だと見抜けました。

04この棄却から得た教訓

「強い」シグナルは、符号を反転させて整合性を確かめよ

異常に強いエッジ(順張りでも逆張りでも)が出たら、同じコードで符号を反転した版を走らせてみる。もし反転版に同じ大きさで逆符号の強いシグナルが出るなら、それは本物のエッジではなく、方向に対称な計測バイアス(多くは先読み)の疑いが濃い。本物のエッジは、方向で非対称になるのが普通である。

そして先読みバイアスは「終値で判定→始値で約定」という形で最も頻繁に混入する。シグナル計算に使う値の確定時刻と、約定に使う値の利用可能時刻が、論理的に整合しているかをコードレベルで毎回検証する。close[i] を使ったなら、約定は最速でも open[i+1] である。

05二つの幻を、一つの教訓に

R129とR130B/Cは、当研究所の「自分の好成績を信じない」姿勢の標本です。−13pipという数字を「逆張りの宝」と勘違いせず、姉妹研究と突き合わせ、符号を反転して整合性を確かめ、最終的に両方を人工物と断定しました。先読みバイアスの対称性という抽象的な概念を、実データの二つの幻で具体的に示せたことが、この棄却の最大の収穫です。同じ構造の継続版がR126(BigLondon→NY)で、こちらは買い方向の幻として記録されています。

先読みバイアスの対称性、その全貌

+の幻と−の幻は、同じバグの裏表だった。

R129(逆張りの幻)・R130B/C(モメンタムの幻)・R126(継続の幻)は、すべて同一の先読みバイアスの現れでした。対称性を解剖した記録と、厳格な監査を生き延びた検証済みプロダクトをご覧ください。

検証条件: 対象=EURGBP H1/Z-score 逆張り(R130BのSELL方向版・同一コード)/先読みバイアス修正後 約−2pip・OOS2025封印維持。 掲載数値はバックテスト・統計検証の実測値であり、フォワードテストは実施していません。

免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証しません。FX取引には元本割れのリスクがあります。図表はすべて実データ(検証レポート)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。