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RESEARCH-082 棄却 — REJECTED

統計的には本物のエッジが、
MT5 Strategy Testerで 60秒後には消えていた

シドニー市場が動き出すGMT00:00、JPYキャリーポジション構築が始まる——この仮説に基づく2時間保有戦略は、 Pythonでは全期間PF3以上、ウォークフォワード100%通過という統計的に頑健な結果でした。 しかしStrategy Tester照合(トレード単位照合)で判明したのは、「最初の60秒」でエッジが+14.7pip消え、MT5は1分後にしか入れないという構造上の不可能性でした。 本物のエッジでも、約定構造上「取れない」ものは棄却する——そのルールを実例で示す記録です。

対象 GBPJPY(主)/ EURJPY(副) 時間軸 H1 × 2時間(GMT00:00〜02:00) 死因 60秒エッジ消失・ロールオーバー時刻問題(禁止⑩) 検証 2020–2024・MT5 Gate B Strategy Tester照合(トレード単位照合)済
Python IS PF(GBPJPY pos<0.60+noThu)
3.43
IS avg=+8.50pip・WFA 11/11=100%・全年黒字
MT5 PF(Strategy Tester・修正版 v1.02)
0.63
現実約定・366件照合。損益分岐を大きく割り込む
MT5 Strategy Testerのエントリー高値掴み
+14.7pip
Pythonの理論エントリー価格との平均乖離(95%が不利側)

01仮説 — シドニーオープンのキャリー構築フロー

日本の機関投資家によるキャリートレード執行は、東京市場の開始前——ICMarketsのサーバー時刻でGMT00:00(シドニーオープン相当)——から始まるという仮説です。 前日の終値が上昇余地のある位置にある場合(close_pos < 0.60)、かつ週末ポジション解消が起きやすい木曜を除外した上で、 GMT00:00のH1バー始値でBUY、2時間後のGMT02:00で決済する設計でした。

先行研究RESEARCH-044(GMT01:00版)が機能していたため、「その1時間前の執行を捉えれば、より初動の強いフローを取れる」というロジックです。 エントリー価格は「H1バーのopen(=GMT00:00:00の第一ティック)」を使用していました。

02Python検証 — 統計的に頑健な成績

IS期間(2020–2023)でのBonferroni補正p値は実質ゼロ(180テスト中最良、p ≈ 0.00000)。 OOS(2025年)での平均利益はISより28%高い+10.92pip——過学習の逆パターンです。 ウォークフォワード分析(6ヶ月窓)は11/11=100%通過。年次分析でも2020〜2023の全年がプラスでした。

出典:RESEARCH-082 Edge Certificate(GBPJPY pos<0.60+noThu・固定スプレッド2.5pip・IS 2020–2023 / OOS 2025)
期間Navg(pip)PFWR%判定
IS(2020–2023-07)426+8.503.4367%✅ Bonferroni PASS
Val(2023-08〜2024)146+8.723.xx✅ 維持
OOS(2025)115+10.924.xx✅ IS+28%

スプレッド感度分析でも、実スプレッド5pip想定でIS avg=+6.0pip(禁止④ Gate4 PASS)。 遅延感度では30分遅延でもGate4通過——これだけ見れば、Platinum候補の統計条件を全て満たしていました。

03MT5 Strategy Tester — 3バージョン全て崩壊

MT5 Gate B(Strategy Tester早期テスト)では、EA実装を3バージョン試みましたが全て崩壊しました。

Python PF 3.43に対しMT5 v1.00=0.795、v1.01=0.32、v1.02(修正版)=0.63。全バージョンで損益分岐割れ。
図1:Python理論PF(3.43)とMT5 Strategy Tester全バージョンのPF比較。v1.00はGMTオフセットの実装誤り、v1.01は市場閉鎖ループのバグ。v1.02(修正版)でも0.63——問題は実装ではなくエッジの構造だった。出典:RESEARCH-082 Gate B Strategy Tester照合(トレード単位照合)(ICMarkets GBPJPY)。

v1.00の失敗(GMTオフセット誤り)、v1.01のバグ(ロールオーバー時刻の無限ループ)を修正したv1.02では、 366件の取引でPF=0.63。実装ミスをすべて排除した後でも損益分岐を大きく割り込みました。

04崩壊の機序 — 「市場に存在しない瞬間」の約定

Strategy Tester照合(トレード単位照合)により、崩壊の原因が特定されました。Python理論では「H1[GMT00].open」、すなわち GMT00:00:00の第一ティックを約定価格として使用していました。 しかしGMT00:00:00はFXのロールオーバー時刻——実際には市場が閉まっており、この価格での約定は不可能です。

H1[GMT00] 内部構造(GBPJPY IS期間・Strategy Tester照合(トレード単位照合)N=365件):

  理論約定価格(H1.open) → 実際は約定不可能(ロールオーバー時刻)
  実際の最早約定時刻 = GMT00:01:00

  00:00:00 → 00:01:00 の価格移動: 平均 +14.7pip(95%が不利側)
  00:01:00 → 02:00:00 の価格移動: 平均 −6.2pip(部分的平均回帰)
  Python 理論 avg = +8.50pip
  MT5 Strategy Tester avg = 8.50 − 14.7 = −6.2pip → PF=0.63
最初の60秒で+14.7pip上昇(エッジの源泉)、残り119分で-6.2pip(部分的平均回帰)、Python理論avg+8.5pip、MT5 Strategy Testeravg-6.2pip。
図2:2時間の損益分解。エッジ(+8.5pip)の全てが「最初の60秒」に集中していた。MT5が入れる00:01:00には既に+14.7pip高値掴み状態。理論値とMT5 Strategy Testerの差を構造的に示す。出典:MT5 Strategy Tester照合(トレード単位照合)実測値(RESEARCH-082 Gate B / ICMarkets GBPJPY 2020–2024 N=365件)。

この棄却から生まれたルール(禁止⑩ — 高速減衰エッジの成行バックテスト禁止)

エントリー基準時刻から15分で30%以上エッジが減衰するものを、成行・足の最良値(始値等)前提でバックテストしてはならない。
さらに追加されたDiscovery 15: server GMT00:00 = FXロールオーバー時刻。成行入場は不可能。この時刻のエッジは「最初の60秒スパイク」であり指値以外では取れない。 OHLCバー on M1テスターは1分解像度のため最初の60秒が再現されず、常に楽観的な成績になる。

05それでも仮説の核心は正しかった

重要な点は、この棄却が「GMT00のキャリーフロー」という仮説そのものを否定したわけではないことです。 崩壊したのは「その最初の60秒を成行で取りにいく設計」でした。

同じキャリー再開フローを1時間後のGMT01:00で捉える設計(RESEARCH-044/RESEARCH-086・未公開)は、 流動性が戻りスプレッドが正常化した時間帯での約定が可能であり、MT5 Strategy Tester照合(トレード単位照合)まで通過しています。 R082の失敗は、「時刻の選択」という設計上の問題であり、フローの実在を確認する作業でもありました。

この研究を生き延びたロジック

消えたのは「最初の1分」。その1時間後のフローは、MT5 Strategy Testerで生き残った。

GMT01:00 の東京キャリー再開フローを実装し、MT5 Strategy Tester照合(トレード単位照合)まで通過した検証済みEA。 R082で解明したエッジの60秒集中構造を踏まえ、流動性のある時間帯での入場を前提とした設計です。

検証条件: プラットフォーム=MT5(ICMarkets, ICMarketsSC-MT5)/対象=GBPJPY(主)・EURJPY(副)/時間足=H1(2時間保有)/ 期間=2020-01〜2024-12(IS 2020–2023 / Val 2023–24)/テストモデル=現実約定(実スプレッド・スリッページ)/ Python理論値は理想約定(固定スプレッド2.5pip)。掲載した数値はすべてバックテストの実測値であり、フォワードテストは実施していません。

免責: 本ページは検証プロセスと棄却記録の開示を目的とした研究ノートです。投資助言ではありません。 バックテスト結果は過去データに基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。FX取引には元本割れのリスクがあります。 図表はすべて実データ(検証レポート・MT5バックテスト)からの再描画であり、生成AIによる作画は含みません。